新年のご挨拶

 

 新年おめでとうございます。

旧年中は、私ども社会福祉法人 玉寿会に対し、ご指導ご支援を賜りましたことに厚く御礼申し上げます。

 

 昨年を振り返りますと、私どもは法人設立より20年という節目の年を迎えることができました。お支えいただいたすべての皆様と、多くのご縁に心から感謝申し上げます。

 

 4月には診療報酬と介護報酬の同時改定が実施されました。診療報酬改定率は、全体で1.19%引き下げられたものの、医師の技術料などに当たる「医療本体」の部分については0.55%のプラス改定。また、介護報酬も0.54%のプラス改定とされるなど、一定の評価が得られた改定率となりました。診療報酬との整合性を図りながら、看取りや自立支援・重度化防止を軸として、多くのサービスで医療や看護、リハビリの視点が強化されました。医療と介護の連携がより一層推進されることが期待されています。

 

 一方で、昨年2月、施設内においてインフルエンザの蔓延に歯止めがかからず、多くの方にご迷惑をおかけしてしまいました。ここで改めてお詫び申し上げます。私どもはこの辛く苦い経験を糧にし、再発防止は当然のこと、信頼回復に向けて「笑顔・まごころ・思いやり」のサービスに心をさらに込めて参ります。

 

 

 平成という一つの時代が終わりを迎えます。この30年、日本は平和で治安が良く、GDPの総額は大きく、多くの人は社会的に自立し、健康で長寿でした。しかし、一人当たりGDPは先進国の中では高くなく、所得の格差は拡大し、相対的な貧困率は増加し、社会の公正さは向上していません。また、生活の満足度は上がらず、国民の社会参加は少なく、自殺率は高く、社会的なつながりが失われています。さらに、アジア地域の発展と日本経済の停滞により、日本の国家としての存在感は相対的に小さくなっています。そして、20代から40代の収入の減少により、消費と子どもを生み出す力も弱まっています。その上、日本の社会基盤には老朽化による限界が来つつあります。このような状況下において、少子化による人口減少と、超高齢化による社会保障費の増加は、日本に国難をもたらすでしょう。そう遠くない未来に日本が先進国と言えなくなる日が来るかもしれません。今を生きる私たちは、子や孫、そして後世に何を残すことができるのでしょうか。現実から目をそらすことなく、危機感を持って行動しなければなりません。

 

 我が国日本を取り巻く環境は大きく変化しています。介護分野においては、核家族化に伴う家庭・家族の介護力の低下など、様々な要因によりこれからの地域福祉の在り方が問われる時期となっています。特に、認知症高齢者や一人暮らし高齢者世帯が増加傾向にあり、地域社会や家族の形態が変化する中、介護保険では対応できない生活支援ニーズや社会的孤立、貧困等を背景とする深刻な生活課題が顕在化し、認知症や老老介護など、行き場のない方々や支える家族の介護離職の増加が懸念されています。こうしたことへの対応にあたっては、公的な制度に基づくサービス・支援だけでなく、普段から地域の人たちと顔なじみの関係になり、互いに支え合う地域づくりが大切です。各自治体に委ねられた総合事業・ボランティア・地域包括の活躍は、日本人の心に共助の力を呼び覚ますものでなければなりません。

 

 私どもの住み暮らす玉名市に大きな明るい話題があります。本年のNHK大河ドラマ いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜は、玉名市名誉市民第1号である金栗四三さんの物語です。山奥で育った超自然児にして韋駄天(いだてん)と呼ばれる金栗さんは、オリンピックの言葉も知らずにマラソンの予選会で世界記録を樹立。明治時代の終わりに、はるばる「ストックホルム大会」に出場するも、勝利は叶わず国辱を味わいます。箱根駅伝を創り、多くの弟子を育て「日本マラソンの父」と呼ばれながらも、度重なる悲運にもめげず、明治から昭和へと変貌する社会情勢の中、笑顔で生涯を走り続けた、太陽のような男の物語。来年開催される東京オリンピックに向け、日本中に光と情熱を届けてくれることでしょう。

 

 どのような状況においても、より良くなりたい。私どもは金栗四三さんのように、関わっていただくすべての方に幸せと太陽のような笑顔を届けたい。

 

 団塊の世代の多くが後期高齢者へと移行する超高齢社会に向かって着実に歩みを進めています。年金、医療、介護において財政的な問題のみならず、人材不足がより一層深刻になると予想されます。生産能力の高い若年層が減少する中、介護人材は2025年までに37.7万人の不足が生じるという予測もあります。介護職員の確保は重要です。本年10月から実施される消費税増税。その増税分を財源とする「新しい経済政策パッケージ」に基づいた介護職員の処遇改善が実施されます。明るい話題ではありますが、国民の血税です。人材の育成に努力していかなければ、この国の政策も意味を成しません。外国人の労働者が増えても同様です。そのような中、体力・運動能力調査(文部科学省)では、高齢者の若返りが見られます。また、60歳以上の男女を対象とした調査(内閣府)では、65歳を超えても働くことを希望すると答えた人は全体の65%と就労意欲が伺えます。現役世代の人口が急減する中で、社会の活力維持向上には、こうしたアクティブシニアの活躍に注目が集まります。

 

 日本には書道、茶道、剣道、柔道など「道」と付くものがいくつも存在しますが、そのどれもが人の生き方に通じており、根底には「世のため人のためにしたことが、巡り巡って自分に降り注ぐ」という考え方が日本人の心に脈々と流れていると思います。つまり「世のため人のためが自分のため」という未来への投資こそが、すべての日本人が目指す普遍的な生き方なのではないでしょうか。だからこそ私どもは、働く職員の生活をしっかりと支え職場環境の充実を図ることから、魅力ある職場を見出していかなければなりません。優秀で人間力のある中間管理職、現場の良きリーダーの育成は必須です。高いモチベーションを持った人財による安定した質の高いサービスを提供して参ります。「人は人によって磨かれる」今まで以上に人財育成に力を注ぎ、人を呼ぶ施設づくりを目指して参ります。同時に、地域性にあわせた経営もさることながら、社会の動向に迅速に対応しながら、医療との連携、経営状態の透明性の確保、組織のガバナンスの確立、地域のニーズへの対応等を図って参ります。

 

 当法人は21年目を迎える本年も現状に安住することなく、今後もご入居者、ご利用者、ご家族、地域の皆様及び関係各機関の皆様の期待に応えるべく、職員一同、笑顔、まごころ、思いやりの理念のもと日々努めてまいります。皆様には今まで以上に、ご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 末筆ではございますが、私ども社会福祉法人 玉寿会を支えてくださる全ての皆様のご多幸とご健勝を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。

 

平成31年元旦

社会福祉法人 玉寿会

理事長 山田 國一